ハイファに戻って

ガッサーンカナファーニのハイファに戻って
去年読んだ本の中で最も心に深く残っている。
彼の出身地であるアッコに行った。
アラビア語ではアッカー。

ナブルスの友達、アミーンのおじいちゃまは実は
アッコ出身だ。
アッコの戦火を逃れてナブルスに来たのだ。
ナブルスのバラタキャンプにもハイファやアッコから逃げて来た人たち、その子供や孫たちが今も暮らしている。
近くの入植地から嫌がらせがあることもある。

物語の世界から、ハイファに戻ってがより私にとってもより身近な現実的な話としてまた深く
身に染みている。

ナブルスからアッコに向かう。
まずはバスでジェニンに向かう。
そしてそこからアフラ。しかしそこにはボーダーがありそれを越えないといけない。
ジャラミチェックポイント。
2年前、このチェックポイントから西岸に入ったことはあるが西岸からイスラエル側に入るのは初めてだった。
どのチェックポイントもだが、西岸からイスラエル側に入る方が厳しい。
ジェニンからチェックポイント行きのバスに乗り換える。継ぎ接ぎのアスファルトで車が揺れる。チェックポイント少し手前の駐車場で下車し荷物を抱えトボトボ歩く。一緒に超える人たちはイスラエルに残ったアラブ人たち。
彼らはイスラエルパスポートとパレスチナ人であるというI.D.を持っている。
チェックポイント、嫌な気持ちになる。




細い警備通路から入って行く。
写真はここでギリギリ。




中は迷路のように広いようだが先が見えない。そして以上に天井が高い。
ここから荷物検査が始まる。空港のと同じような装置だ。
検査している人はこちら側からは見えない。
私の前に一人、その後ろにも一人並んでいる。
順番に荷物を機械を流し込む。
  
私の前に並んでいたアラブイスラエル人は髭剃りを西岸で買っていた。
その事で尋問を受けている。
私の荷物が出てくる、わたしも行く。
顔が半分見えるか見えないかくらいのガラス部分がありそこから話をしていた。
ふと人の気配。
上は通路が張り巡らせ、いかついマシンガンを携えたイスラエル兵が見回りをしている。

わたしが荷物を抱えようとしていると、ガラスの向こうから声がした。
ちょっと、あなたコンピュータある?それとカメラ?見せて!
急に声かけられて驚いた。しかし、アラブイスラエル人はまだ終わっていない。
彼は頭上にいるイスラエル兵からも何やら問いかけられている。

わたしは自分のMacBookとカメラをカバンから出し見せて次のステップへと進んだ。
もう一度荷物検査と身体検査だ。
また上から右腕にマシンガンを抱えたイスラエルだ。
そこに立って。
両手を上げろ。
そして一周回って。
オーケー、ゴー。

いくつものレーンがあるが人がいない。
広いので全部を見て回った訳ではないが。
上からまた声がする。
ゴーデア、と向こうを指差す。
彼の指す方向へ行くと頑丈そうな小部屋に人がいた。
最終チェックだ。

パスポートを出す。
どうして?どこに?と矢継ぎ早に質問される。
ナブルスにカナーフェ食べに。
そう答えると、急に検査官の顔色が変わった。
僕もカナーフェが好きだ。
✳︎美味しいは正義!
行っていいよ。
最後はあっけなかった。わたしには。日本人だから。
イスラエルパスポートがあってもアラブ人にとってはかなり大変な検問通過。

チェックポイントのメインビルから少し離れたところが出口となる。
そこには友達や家族を待ち構える人、タクシー。
バスに乗ろうとバス停に向かう。
バスを待っていると1台の車が近づいて来た。
ナザレ?
ノー、アフラ!
オーケー。乗って。同じ方向だから。バスは中々来ないよ。

思いもよらずヒッチハイクとなった。
陽気なおじさん2人組。

西岸に行ったの?
そうよ、ナブルスに行ってた。
カナーフェ食べた?
もちろんよ!
ナブルスと言うと必ず出る会話。

助手席のおじさんが言った。
僕はパレスチナ人、で、彼はユダヤイスラエル人。
でも友達なんだ。

これも1つの現実。



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